地球時(TT)と太陽系力学時(TDB)の関係式
地球時と太陽系力学時は、天文学で使われる時刻系で、普段みんなが使っている協定世界時とは少しだけ時刻がずれています。
協定世界時は生活に使えるように地球の回転と同期するよう、ときどきうるう秒が入りますが、地球時と太陽系力学時は時間の進み方を一定にするためにうるう秒がありません。協定世界時は地球時よりも69.184秒遅れています(2020年末現在)。次にうるう秒が挿入されたら時差は70.184秒になります。
ほかにもたくさん時刻系があり、前回の記事に書きました。
地球時(TT)と太陽系力学時(TDB)の違い
地球時と太陽系力学時はともに、地球の回転速度にふらつきがある影響を除外して、一定の速度で刻み続ける時刻系です。しかし時間の進み方は重力によって違うことが一般相対性理論からわかっています。
地球表面では地球の重力と太陽の重力の影響を受け、時間の流れが少しだけ遅くなっています。地球時は重力の影響により1年に490ms遅れます。重力の影響を除外した時刻系は太陽系座標時(TCB)です。
地球は太陽の周りを楕円軌道で運動しており、太陽からの重力は1年周期で変動しています。従って時間の地球時と太陽系座標時の時間の進み方の違いも1年周期で変動しています。
太陽系力学時は太陽系座標時から地球時の平均的な遅れを反映したものです。地球時からは太陽系座標時の周期的な変動のみを反映したものとも言えます。地球時と太陽系力学時の差は2ms以内です。
TDBとTTの関係式
このPDFの29ページ目(ページ番号15)にTDBとTTの差の計算式がありました。
はユリウス日(地球時)から2451545を引いた値(2000年1月1日12時(地球時)からの経過日数)を36525で割った値です。1年周期の変動幅は1.657msということがわかります。