平方根(ルート)のない電卓で平方根を計算するには
手順
を計算する例です。
まずは答えに近そうな適当な値を考えます。2の2乗が4で3の2乗が9で、5.8というのはその間ですので、2.5を適当な答え候補の初期値とします。面倒ならば1としてもよいです。
- メモリを使うのでメモリをクリアしておきます。これは電卓のメーカーや機種によって操作方法が違います。メモリクリアボタンがあればそれを押します。メモリ呼び出しとクリアが一体になったボタンがあれば、それを2回押すと、たぶんクリアされます。
- 初期値をメモリに入れます。以下の順にボタンを押します。
2.5
M+
- 以下の順番にボタンを押します。途中の
2
というのはなんのルートを計算していようが必ず定数2です。最後に電卓に表示される数値は答え候補を修正する差分です。5.8
÷
MR
-
MR
÷
2
M+
- 上記3の手順を繰り返します。最後に表示される差分は、繰り返すごとにどんどん小さくなっていくはずです。差分が満足できるほど十分に小さくなったらやめます。
- メモリに入っている値がルートの答え。
説明
を計算するために の方程式を解くことにします。
として、ニュートン法
で、 を計算していき、収束したらそれを答えとします。
微分 は
です。この をニュートン法の式に代入して整理すると、
電卓の手順では はメモリに入れておきました。 は最初の例でいうと5.8になります。
経緯
統計検定の試験を受けました。統計検定では電卓の持ち込みが可なのですが、統計の計算ができるような関数電卓は不可です。私は電卓を2つ常備していますが、どちらも関数電卓(SHARP EL-5160S、CASIO fx-JP900)で、試験持ち込みは不可です。
試験に持っていける電卓を家で探したところ、妻の使っている事務用電卓が使いやすそうでした。
しかし、なんとその電卓にルートがなかったのです。ルートのない電卓があるとは想像しておらず、直前まで気が付きませんでした。
慌てて、ルートを四則演算だけで計算する方法を考えました。
(実際の試験でルートの計算が必要な場面では、ルートは暗算で十分でした)